EVERYTHING / Beagle Kickのマルチトラック音源

上記ツイートにある通り、EVERYTIMEのマルチトラック音源が期間限定で提供されていたので、ミックスをやってみました。
出来上がったものがこちら。

プロジェクトファイルはこんな具合。
Screen Shot 2018-08-25 at 17.48.10

トラック数は45トラック。
普段自分が作るときはそんなトラック数にならないので、どうグルーピングするかって所から悩む具合でした。
そんな所、こんな助け舟を頂きました。

LEWITTのケースと違ってマルチトラックデータの時点でそれなりに音が作られていた気がします。そのため、今回は音をどう作るかというよりは、どんな方向のミックスにするかという方針の違いが色濃く出るようなものだった気がします。

ミックスで気をつけた所

・サックスの音が中々エネルギッシュで、たまに耳に痛い所が出ている。
前半のアルトサックスは波形自体のゲインを下げ、かつEQで張り出している辺りを少し抑えました。また、DJミックスのマスタリングなんかでも使ったKush Audio Omega Nとか通したりしてみました。
私はホーン楽器の耳に痛い部分が苦手で、特にジャズトランペットのソロやアドリブでの高音域、4-8khzあたり?はちょっと聞いてて辛いことが多いです。そのため、結構意識的に痛い所は潰しに行っています。
ちなみにこのサックス、ピッチが甘いという指摘もあるようですが、私にはわかりませんでした。

・コーラスの配置方法
パッと聞いた感じ、コーラスは左右配置してワイドでリッチなまさに主役な感じの配置が合いそうです。しかし一方で、センター不在はちょっと気持ち悪く感じたので、コーラスを真ん中にも少しだけ配置してみました。左右が分断されてしまうところをちょっと糊付けするような感じで。
ステージの左右にメインコーラスする人が立ってて、中央後方にバックコーラスがいるような感じがイメージですね。

・ベースのボリューム
ベースは下支えになるようにかなり強めにコンプレッションしてしまっていいかな〜と思ったんですがそれだと全然かっこよくならなかったので、低域とそれ以外でコンプする量をわけつつ最適なボリュームを探しました。
他のパートをいじるとなんかベースが出っ張ったり引っ込んだりしてしまう気がしたので、他に影響されて修正することが多かったので、気をつけたというよりはミックス下手なので苦労した点といったほうがいいかも知れません。

・シンセの音量
ピコピコなシンセとか、サックスと一緒のサブリードのシンセ達の音量が結構気になりました。あくまでサブなので大体の音量感は決まってくるものの、実際に鳴っているのを感じるくらいにするのか、ミュートしたらないのに気付くぐらいにするのか、どうしようかなという感じでした。
最後は、多少聞こえた方が華やかさが出る気がしたので、一応聞こえるレベル感にしました。聞こえたほうがいいからマルチトラックとして存在してるんだろ!?って考えがよぎったんですが、音を捨てる決断をすることもあるかなと思ってニュートラルに考えました。

感想等

・ミックスはPCパワーが要る
45トラックです。グルーピングするバスも普段の自分の環境よりも多いです。
普段通りプラグインを挿していくとミックスの終盤には結構CPUの限界が来ているので、いつも通りやったらこの量に太刀打ち出来るはずがありません。まぁ減らしたり重たいやつはバスのバスぐらいになってから使うとかして節約してなんとか終わらせました。
UAD-2が歓迎されるのは、やはりリソースの外出しが出来る、ということも大きいのだと思います。他のプラグインも逃がせたらいいんですがね。ウィンアコとか入れるほどでもないし。

・PANでかなり飽和感は変わる
シンセ達が絶対埋もれちゃうんじゃないかと思ってたんですが、PANで十分聞こえるようになりました。普段作る際ってシンメトリーな音の配置で片方に寄って動くものってあんまり入れないんですよね。なのでPANって結構これまで適当だったんですが今回はいつもよりは気を使いました。ぶつかってるやつはPANで逃げられることも多かった気がします。
これを機に自分で作る曲の中にちょっとした小ネタな音を散りばめるのを試してみたいですね。

・リバーブがよくわからん
リバーブって大抵センドで使うと思うんですが、例えば左で鳴ってる楽器はリバーブも左から鳴ったほうがいいとかあるじゃないですか。これを突き詰めると結局真ん中用、左右用で3つは必要になって、キャラの違うリバーブを組み合わせると3の倍数分リバーブがいることに?
とかとか、生っぽいリバーブのうまい組み方は難しいですね。

・音の重ね方はとても勉強になった
マルチトラックデータというのは貴重で、どんな風に音が重なって曲が出来上がっているのかよく観察出来るいい機会です。トラック数は多ければいいってもんじゃないですが、自分のトラック制作にも活かせそうな重ね方をいくつも発見したので、今後マネして行きたいと思います。

・自分のミックスする傾向がつかめた
私のミックスに対して、優しい音ですね、というコメントを貰いました。ミックスに気をつけた所で書いている通り、耳に痛い音は極力潰していること、リバーブが割と深めなこと、最終的に全体を3バスぐらいにまとめてバスコンプでギュッとまとめたこと、等から収まりがよくなって優しい音になったんじゃないかと感じています。バスコンプのおかげが大きいかも知れません。自分の好みもそうですが、普段やっているワークフロー自体も音の傾向となっているのかなと思いました。
人にミックスを聴いてもらって、こういう感じだね、と言われること自体が少ないのでこれも貴重な経験でした。

他の方々のミックス

他の方々の内容もご紹介。
人それぞれ色んな解釈があってとても興味深く、ミキシングというのもクリエイティブな作業だなということがよくわかります。

https://twitter.com/piano_flava/status/1030794149178499074