2021.11.04 末尾に追記

家以外で音楽聞くときはiPhone+BTイヤホンでしたが、今後外で長めに音楽を聞くような場面が増えそうだったのでポータブルオーディオに足を突っ込んでみました。
買ったものの感想、この界隈の敷居の高さ等感じた事をまとめておきます。

DAPがほしいなとは思っていた

iPhoneのLightning to Stereo Mini変換アダプタが死んで以降、音質に不満があり過ぎるがBTイヤホンで我慢していたのだが、外出先で長めに音楽を聞くとなるともうちょっとまともな環境にしたい。となるとDAPの導入だろうか。

DAP、すなわちDigital Audio Player、すなわち音源の再生専用、あるいは再生を主目的として作られたポータブルデバイスである。自分みたいにiPhone登場以降何も追ってなかった人間はiPodをイメージするかもしれないが、スマホ的にAndroidベースで動いていて他にも色々アプリを入れられるものもが主流に見える。ストリーミングに対応しないわけには行かないので、AndroidベースにしてAmazon Music HDとかSpotifyとかは各自お好きに、というわけである。

とはいえ、果たして自分が買おうと思っている価格帯での音質は?
イヤホンもバランス接続がいいとかなんとか色々あるけど、実際どうなん?
持ち運びがめんどくさくならないだろうか?

こうした不安があったが、結論からすると想像以上に良い音で出先で音楽を聞ける環境が整ったので大満足です。持ち運びは面倒なのとバッテリーがそこまで強くないので毎日充電が必要な事はマイナス点だが。

DAP選び

そこそこでいいやと思っていたのであんまりマジメに選ぶ気がなかった。
Astell & Kernは超高いイメージ、Sonyは個人的に嫌、他はよくわからない。中華勢も色々いるんだなと言う中、Shanlingという知ってる名前が目に入った。
このメーカーは20年ぐらい前に真空管SACDプレーヤーを作っていたり、結構尖った事をしていた記憶がある。歴史ある会社なのであれば聴いてみても良いかなと言うことで、Shanling M3Xを狙い目、念の為M6 ver.21も聴いておくものとして試聴に行くことにした。
ネット上のレビューに色々目を通した結果、出音はモニタリングライクで素直、明確な着色の意図はない忠実方向ということであった。DAPは全然比較試聴をしなかったので自信はないが、まぁ製作系で使ってるものからそう遠く離れた印象もないので概ねそうなんだと思う。

試聴の結果、期待に反してM3XならiPhoneと言うほど差がないなと思われた。
一方、M6 ver.21は明らかにクオリティが上がり、Grade m900やApollo等これまで聴いてきた方向を感じられたので一気に心惹かれ、そのまま購入。

試聴詳細は以下の通り

音源

山下達郎 – アトムの子 (サブスクやYoutubeがないので音源省略)
冒頭タムの音が立ち上がり良くカッコよく入れるか、開始9秒あたり低音が入ってきた時、ちゃんと低音のフォーカスがハッキリしてセンターに音像が感じられるかがポイント。特に低音の音像については広がっちゃってダメな事が多い。

Ariana Grande – Positions
ボーカルの音像感がしっかりとあるか、サビのスピード感はどうか、40hz台から入って20hz台まで下がる低音の繋がり具合はどうか。20hz台までの再生能力は流石に求めないが、ベースが急になくなって聞こえてしまうようでは残念。

概ねこの2つ。テクノ製作じゃないのでテクノ系は参考程度にしか聴いてない。というかポップスがレンジ広くカッコよく鳴ればクラブ系も基本OK。

イヤホン

Intime 碧Light 2019 Edition
https://intime-acoustic.jp/?pid=133356470

Intimeは素晴らしい。しっかりと音楽を描写する実力がある。
以前Twitterでその名前を見かけて、アウトレットで3000円になっていたので買ってみたもの。定価でも4000円だが侮るなかれ、自分で色々試聴してみた結果3,4万円のイヤホンと比較してもこっちで聞きたいというケースも多くあった。
低音にバランスが寄ってはいるが、ブーミーでなくちゃんとアトムの子の音像感の聞き分けができる。元気のある出音で楽しい。音色が綺麗、という方向ではないのでクラシック系は苦手かも。

イヤホンもレベルアップしたくなった

想像以上にM6 ver.21で音楽を聞くのが楽しい。かなりポテンシャルがあるように思うのでイヤホンもグレード高いやつを聞きに行こう。バランス接続とかで音が変わるのかも気になる。

というわけで秋葉原のeイヤホンへ。
とりあえずIntime上位機を聴いてやっぱりいい方向だなと思いつつも、他にも色々聞きたいなと思っていた所で店員さんが声をかけてくれたので、音場と音像なら音像、特に低音のフォーカスをきっちり、元気目な音、とリクエストして見繕ってもらって色々試聴。

DUNU-TOPSOUND Falcon Pro
ちょっと苦手なバランス。なんだろう、キャシャーンって感じの嘘くさい高音、ゆるい低音、これならIntime碧の方が断然良い。
昔Klipschを聞いたときにこんなイメージだった。とても人工感がある音。

AAW A3H+(Universal Fit)
最後まで悩んだモデル。Intimeと似たような方向性だが若干低音の音像感は甘い。しかしレベルは高いと感じた。
しかし、Moondropのバランス接続を聞いてしまった以上、きっとそれが頭の片隅で気になり続けるだろうと思ったのでこれは却下。

水月雨 (MOONDROP) Variations
最終的に購入。聞いた中で音像感ベスト。元気な出音、ではないが低音はふくよかながらタイトさもあり好印象。
最初3.5mmステレオジャックで聞いた際は中域が足りないなと感じたのだが、バランス接続を試させてもらったら個々の部分が見事に解消。というバランス接続で変わるという事例を身を以て体感。だいぶ想定予算を飛び越えたけどお買い上げ。図らずしもDAPもイヤホンも中華メーカーになった。
そうえいばこれをつけて動いてみてもタッチノイズが皆無と言って良い。これには感動した。

なお、お会計時にパッケージ出してもらった時は商品を間違えたかと思ったが、これが正規パッケージである。
なんでも社長がアニメ好きということらしい。公式Webではファンアートをアップロードもできるぞ笑

商品説明ページの画像はちゃんとかっこいいというのに。

バランス接続について

DAPを買った店の店員は、バランスだからいいってことは無いですよ、と割と冷めたコメント。
eイヤホンでは、かなり変わると思います、というコメント。

今回は自分は購入の決め手になるほどバランス接続で良くなったという事を味わったのだが、振り返るに評価が割れる問題の原因は2点。

一つはDAP毎にアンバランス/バランス双方遜色ない作りをしているかどうか。バランスの方に力入った設計だったらバランスが良い、ということではないそもそもその出力が良いということである。ニセレゾみたいに体裁だけ整えたのみで設計上大したことがないようなヤツが紛れているかもしれない。M6は設計上出力に差異があるのか、そもそもバランス接続によるメリットなのかは比較をしていないのでよくわからない。

もう一つは純粋な比較がしにくいということ。今回買ったVariationsみたいに3.5mm標準ジャック、2.5mm/4.4mmのバランスプラグ全て差し替えることができるというモデルは稀で、公式対応していなければリケーブルによって試すしかない。なので、そのケーブルの品質にも引っ張られるし相性もある。

よって、現段階の私見としては、身も蓋もないが必ずバランスだから良いという保証はないので極力試聴するしかないという結論。少なくとも万能薬みたいには見ない方が良いのではないだろうかと思う。バランス接続自体の意義はあるが、結局は各個体の設計に依存してくる。

難点

持ち運び

デカい。一言で言ってデカい。
ズボンのポケットに入れて歩くと結構異物感があるので移動中には向かない。そもそもとして移動中後ろからくる自転車に気づかない人とか多いから気をつけようね。
この点は、通勤中に聞くぐらいのニーズだと不便さが段々上回ってスマホでええわってなるかもしれない。
できればお店で実機を触ろう。

バッテリー

M6は公称11時間連続再生なのだが、朝フル充電して通勤途中聞いて、後はスリープで放っておいたら会社を出る頃には56%になっていた。別の日、スリープして放っておくのではなく、電源をオフして放っておいたら数%減っているのみだった。
いちいち電源オフをするのは面倒だが、こうした方が良さそうである。

持ち運びとバッテリーはやはりスマホに劣る。これらのデメリットを良い音で音楽が聞けるという1点で覆せる人種というのは、中々のオーディオオタク達であるだろうと感じる。

終わりに

音を聞く前はたかがポータブル、と思っていたが、技術の進歩は素晴らしかった。スピーカーに興味がない、という人が出てくるのも納得である。正直今回と同じ金額でスピーカー環境を整えろと言われてもかなり難しいように思う。
自分としてはこれでQoLがだいぶ上がったように思うので、しっかり使い倒していきたい所。

追記

M6は長時間稼働すると音がヘタる?

そんなに実際に聞くことが無いので再現しにくいんですが、エージングもあり代替10-12時間ぐらい鳴らしっぱなしにしているときに、音を聴いてみるとだいぶ音がヘタっていて張りがなく中域も凹む用に聞こえる。電源を1回落として本体がちゃんとクールダウンした頃に改めて聞き直すと普通に聞こえる。
まぁイヤホンでは音量絞ってゆるゆる聴いたとしても最高に長くて2時間もすれば聴覚的にも耳の穴的にも疲れてくるのでそんなに聞き続けることは無いので無問題かな。

コネクタの掃除

これは自己責任でやってください。壊しても私は一切責任を持てませんし持ちませんが、コネクタは1回掃除した方が良いと思う。
DAPの差込口、イヤホンのDAP側プラグ、イヤホン本体とケーブルの接点、そうした所で無理なくやれるところは無水エタノールを染み込ませた綿棒で拭いて、最後にコットンで乾拭き。DAPの差込口に綿を突っ込むとほつれたら取りにくいことになるので、綿棒を真ん中からカットして持ち手になる硬い部分で汚れをこそぐイメージで掃除。
普段私がケーブル類についてやっている掃除方法ですね。新品でもコネクタってのは結構汚れているものです。
気持ちの問題かもしれないけど、レンジ感広がる感じしますね。特に低音が下までよく伸びるようになった気がします。

エージング

やっぱりChord & MajorのRun in音声を2周もするとほぼ整うように思う。
私は新品のエージングによる変化は絶対にある派。根拠は自分の体感なので測定とかしたことはないが。