Final Effectというプラグインメーカーがありまして、Real Edge SeriesというシリーズでEQ/Comp/Limiterがあり、それぞれFinal EQ, Final Comp, Final Limitという名前で販売されています。
このうちのFinal EQについて、自分はヘビーユースしている所でありまして、使ってみた感想を詳細に書いたものがあんまりないので書いてみようと思います。
Final EffectのコンセプトとしてBeyond Hard Gearを掲げており、実機を超えるサウンドを目指しているとのことで、自分が所持する範囲での実機との比較も書いてみたいと思います。

お断り

音源とかは特に上げませんのでご承知おきください。
実機についてですが、私は実機EQとしてCustom Audio Germany HDE-250(トランスなし)、Elysia xfilter500、IGS Audio Rubberduck 500 MEを所持していますが、あくまで私の環境での感想です。電源事情やケーブル事情やインターフェース事情も含めたものです。
礼賛する気もないですが不当に叩く気もありません。

私がやっているのはクラブミュージックです。クラブ音楽全部がそうじゃないんですけど、私がやってるのは今でもバチクソに音圧入れますし、歪み上等ですし、自分では生楽器の録音物を取り扱うことは基本ないですし、あっても相当に汚さないとトラックに馴染みません。
そんな音作りをしている人間が書いていますので、生録のリアルさとかそういう観点は何もわかりません。すいません。

公式デモ

ご参考。
ちなみにこういうやり方でふむふむなるほどっていう人もいれば、マジかよ信じらんないって人も両方いる様です。俺は前者寄り。

EDM曲のマスタリングプロセス

使うシーン

低音を触る際は基本的にこれ。後は何でもいいやというときもまずこれ。
割とCPU的にも軽めで特に何も支障がないので、パラメトリックEQを使いたいなと言う時は上記の通り基本的にあらゆる場面で使っています。GUIのせいで大味な動かし方をすることが多いからかも知れないですが、効果がわかりやすい感じです。自然にっていうよりはザクザクと刻み込んで行く感じ。

制作段階

特にドラム周りで使います。その中でも特にキック。
例えば60hzをQ3で5dbブーストするみたいな時に、色々聴き比べてみたんですがローがボワつきません。
HDE-250を買った後、この点で質の高い実機すンばらしー!と感動していたんですが、結構このぐらいになら迫るものがあります。ローをいじるという意味ではxfilterとは比較になりません。RubberduckはパルテックタイプEQなのでちょっと土俵が違う。ただまぁ実機の方が両手使える分色々速いので、シンセをHDE-250に挿してグリグリいじりながら作るほうが直感的ではあります。
ただ2023年は外部シンセを使わないMacbookのみの制作スタイルが多かったので、その際は特にかく役に立ちました。
シンセとか他のものにも使いますが、上記のドラムほど重宝している感じではないです。
なおローシェルフはめったに使わない。

ミックス

バスとかで低音盛りたい時は基本的にFinal EQ。
これは私が下手なのもあるんですが、ハイが強いようなのをうまくなだらかにしたいなっていう時はxfilterの方が相性が良い気がしています。特に「艶のある高域を演出するパッシブLC回路(シールドコイル使用)」(公式より)のカーブが好きで金物とかはこれ通せば良いんじゃないかみたいな所があり、これのお手軽感には中々敵わない。これが欲しいなというシーンがなければ、わざわざ外だしするよりFinal EQで済むといえば済む。


xfilterは公式動画でもカットの方が良く出てくる気がするので、そういう使い方の方がなんかしっくり来るイメージがあります。

マスタリング

絶賛大活躍中。基本的な音決めはFinal EQです。
これは持論ですがEQで勝負の8割が決まってる所あると思います。楽曲をどういう表情させるかという意味で、もちろんFinal EQじゃなきゃダメというわけではなくて、EQをつかって欲しい方向に行くというプロセスで8割決まるのでは、という意味です。
なので欲しい方向に行ければツールは何でも良いのですが、私は低音の触りやすさ、個別ポイントの効きの良さからこれを使っています。もちろんDynEQするというときは他のものを使う必要がありますし、Vertigo VSE-4なんかも大好きです。Ozone EQを使うこともあります。

Final EQだけだともちろんハードウェア通らないのでトランスカラーとかそういうのはありませんが、実機使うメリットを見出そうと後日ハードウェアでもう1回マスターしてみるということもやってみたりするんですが、今のところ別にいいかな・・となってしまいます。
ただマスタリングで思いっきり変えてよいみたいな時はやはりイメージを具現化しやすいのでそっちを使ったりします。自分の曲とかマスター段階でも割とやりたい放題ですね。

EQの前後で色々やりますが、最終形に一番大きな作用をしているのはEQだと思いますので、今のところ私のマスタリングの心臓部といってもいいかもしれないですね。
参加させてもらった作品の中では大きな反響を呼んでいるしクラブでも聴衆をロックしている、というものもありますのでマズいことにはなっていないと信じたいです。

ダメな所

一方、ダメなところもたくさんあるんですよ。
・画面サイズ非可変:大きくさせて欲しい。これが一番大きい。
・値の直接入力不可:割と決め打ちで入れたい派。
・個別バイパスがほしい:ダブルクリックとかで0に戻るけど、ON/OFFしたい。
・認証エラー起きがち?:私も一度起きたんですが、何らかの都合で認証がおかしくなってサーバー側でリセットする必要がある場合があります。”Machine ID already logged in”というメッセージが出た際はサポートに問い合わせて直りました。このサポート問い合わせっていうのがライト層からすると心理的ハードルがあるだろうなと思います。
・落ちる?:DAW巻き込みで落ちてしまう人もいるらしい。私のWindows+Samplitude/Mac+Logic環境ではそうしたことはない。サポートはちゃんと返事してくれるので問い合わせてみて欲しい。

これらは初期からわかっていたことだが、リリース以降アップデートがないのが残念ではある。

ダメはオペレーションでカバーする

ピーキー過ぎてお前にゃって聞こえてきそうですが、動かし方が慣れてくるとじゃじゃ馬でもとりあえず扱えるようになってきます。

私の基本的な動かし方は以下の通り。
・起動したらハイパスとローパスをピークに直す。(Logicならデフォプリセットに設定済み)
・Qはデフォ設定のまま大体のEQポイントまでマウスで移動。
・見えないけど、クリックしたポイントにフォーカスが移るようなのでポイント上でホイールを回すことでQ幅を変更。これで欲しいポイントに刺さっているか調整。なおKensingtonのトラックボールではホイール回すとQ0.71から一気に2.96まで飛ぶ。Ctrl押しながらでもう少し刻むとはいえ、もう半分ぐらい刻んで欲しいとは思う。まぁQ3ぐらいの方は良いとこに刺さってるか確認しやすい気がするので慣れた。
・最後にCtrlをクリックしながらマウス移動で微調整できるのでそれを行う

これを基本として、まぁ頑張って触る感じです。

代案?

なぜわざわざ修行僧のようなオペレーションをしてまで・・・?という所があるんですが、某所にてEQプラグインの聴き比べをしてみてロー触って良いなと思えたのがDDMF – Grand EQだったんですよ。
ただ、これもノブしか触れない潔さもとい修行を強いてくるものですので、なんかそれで諦めついたとこがあります。
なお、キックにローブーストするだけの聴き比べで中高域全く触ってないし自分ではデモってもいないので中高域がどういうキャラ違いかはわかりません。また、負荷としてはFinalの方が多分軽いんじゃないかなと思いますけど、並べて比較してないのでこれもわかりません。

まとめ

プラグインについては基本的にそのためだけの記事は書かないつもりだったんですが、これに関しては自分が情報発信しないと少なすぎるなと思ったので書きました。
記載の通り、自分としては明らかなメリットがあることと、オペレーションに慣れたということもあって使い続けています。多分世の中では少数派かなぁと思うのですが、気になっていた人の参考になれば幸いです。
なおバージョンアップによるGUI改善は本当に心待ちにしてます。お願いします。